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再発予防に対する注意点

めまいには一度治っても再発する危険性がついてまわります。過去にさかのぼって詳しく問診しますと、二十年も三十年も以前にふらふらしたことがあるとか、ぐるぐる天井が回ったことがあるとか、小学生時代に脳貧血を起こして倒れたことがある、などがあります。長い目で見ればそれらも再発になります。

よく判っていませんが、めまいの原因となる体質があるはずですので、めまいはサマザマな形で再発する可能性があります。この点は、うすうす自分の体調がどこか変だと気がついている患者さん自身がいちばんわかっているはずです。
症状の強い時だけではなく、再発にまで配慮することが、患者さんにとっても医師にとっても不可欠です。

1. 発作時の様子を考える

再発予防には生活上の行動や動作についての注意や、めまいの起きた時の身の回りの状況や環境の変化などについて考えておく必要があります。たとえば、台所で食器片付けをしていた、振り向いた、狭い道を歩いた、人ごみに行った、美容院に行った時、天気の悪い時だった、などを把握することが必要です。日頃の生活動作や環境についてのセルフチェックは、めまいの再発を防ぐうえで大切なことです。生活上の注意といっても、一般的な肥満、運動不足、コレステロール、酒、タバコなどを中心とした生活習慣病に対するものとは異なります。

2. くびに対する具体的注意

めまいの原因として大きく関係しているのが、くびのこりや背筋の異常であるはずですので、めまいの患者さんの八十パーセント以上は、くびのこりや痛みをもっていますが、くびこりの増悪に伴って再発することが少なくありません。再発予防についてもくびこりに対する注意がもっとも大切です。さらに遡って、「何故くびがこるのか?」もよく考えて見て下さい。しかし、これは非常に難しい問題です。単純にストレス、目の疲れだけではなく、歯の咬み合わせの悪いことも関係しています。さらに考えれば、環境としての温度、気圧、さらには地球の引力や磁場変化、電磁波も関係しているかも知れません。 くびに対する具体的な注意点は次のようになります。

(1)くびマッサージを習慣づける。

くびマッサージを習慣づける。めまいの方の多くは、一度調子が良くなったらくびマッサージをズボラします。再びくびがこって来たら再発します。さらに、くびをこらせる原因となりうるパソコン作業、重い荷物をもつ動作を避けることが必要です。原因となる動作をやめたら良いのか?となりますが、会社をやめるとなる、それこそくびが飛ぶことになります。そこまで考えるよりも、そのような動作のあとは、とくにチャンとくびをほぐすことです。 くびあるいは頸椎症に対するセルフチェックを試してください。

(2)重いものを持たない

通勤、通学時の七キロ以上のカバン、職場での書類や商品、毎日の買い物かご、持ち運び子どもを抱き抱える育児中、久し振りにたずねてきたお孫さんを「高い高い」したり、病気の方や高齢者の方を介護することなどです。このような動作は人間生活を送っていく上で不可欠なことですが、そのような動作のあとではくびをよくほぐして下さい。概して片方の腕だけに重力をかけることはよくありません。カバンや重い荷物を片方の手に重力をかけることは体の左右差を増強しますのでリュックサックを用いるなどの工夫が必要です。だからと言って、駅などの人ゴミでゴロゴロとカートを使うことは、他人に害を及ぼします。 患者さんからよく聞くと、とんでもないような重たいものを持っている仕事があり、その人の人生を垣間見ることがあります。 かなり以前に、香港で小学生にめまいが多発したことがあります。その原因は小学生の通学カバンの中の重い教科書と判りました。教科書の自宅への持ち帰りを禁止して、その流行は止まりました。パソコンを持ち運びするサラリーマンには似たことがおきているでしょう。

(3)くびを締めつける衣服を避ける

タートルネック、丸首シャツ、ネクタイ、重いネックレスなどにも注意してください。

3. 日常動作への配慮

くびだけでなく、肩や背すじのこりにも注意して下さい。長時間の運転や家族旅行、美容院や歯科受診などのくび の背り返らせ動作、強すぎるマッサージ、くびを背り返らせる水泳の平泳ぎもさけてください。どうしても必要な場合には、その行動の前後でくびのマッサージを充分にしておくことです。パソコン作業、美容師、調理師、などの職業的な作業、チェロ、バイオリンなどの楽器演奏、細工物、編物、社交ダンス、ゴルフなどの趣味もまた、くびに対して悪影響を及ぼす可能性があります。個人個人千差万別です

4. 趣味や仕事に対する注意

趣味や仕事の中には、けっこう、めまいの原因になりそうなものがあります。 女性の場合は刺繍、細工物づくり、あるいは、全世界的に?普及しているパソコンゲームに長時間熱中することはおすすめできません。趣味をもつことはストレス解消にもつながる良いことですが、できるだけ2-30分でひと休みするようにして下さい。その際にできるだけ、くびをほぐしたり背筋を伸ばしたりして下さい。パチンコもくるくる目を回すようで、あまり根をつめてやることはよくないはずです。 私の友人で、大阪市内で病院を持っている医師は、パチンコ中にめまいを起こしてくる人が、しょっちゅういるといっています。これもまた、パソコンと同じように目やくびに注意が必要でしょう。もうひとつ、パチンコがめまいに関係しうるのは、あのものすごい音響でしょう。

5. 歩行時の注意

ただブラブラ歩けば良いというものではありません。基本は背筋を伸ばし乍らの早足歩行が大切です。
具体的には、

  • 背筋を伸ばし
  • 顔を約45℃斜め上に上げ
  • 左右の肘を胸に近づけ、肘鉄砲をくわせるような感じで
  • 腕を後へ交互に振る
  • 大股の早足

などに留意して下さい。一言でいうと威張った「殿サマ歩き」です。

6. 姿勢に対する注意

1)腰痛に対する注意

意外と見落とされているのが、めまいと腰痛とのかかわりです。腰の神経は、脳へもつながっていますし、股間接や足にもつながります。
治りにくいめまいの患者さんの多くは腰痛をもっています。 その大きな理由は、おそらく、くび痛より前からあった腰痛をかばうために、重い頭を支えているくびが、無意識のうちに腰に負担をかけないように、バランスをとっているためと思います。
このような方はめまいを治すためには、腰痛を治す必要があり、週1回程度の水中歩行を続けることを心がけて下さい。
腰や足などがくびに無理な負担をかけているということでは、膝痛や外反母趾がめまいの原因として考えられている意見も散見します。まんざら、的を射ていないとは思いません。結局は、足くびからくびまでのすべての背筋に関連した部分が相互に影響し合っているのでしょう。

2)股関節のストレッチ

とくに女性の方は骨粗鬆症になり易い体質、出産などに関係しています。原因は、はっきりしませんが、多くの患者さんで左側の股関節が硬くなっています。ストレッチの詳細は家庭医学書を参考にして下さい。あるいは整体やタイ式マッサージを試してみられるのが良いでしょう。

3)背筋を伸ばせる

簡単に言えば「バンザイ」を3回することで、その際上に挙げた左右の腕が耳に付くほどに近づけて、天井に手が届くように万歳するみたいに背伸びして下さい。歓びの表現としての「万歳」の習慣は、中国古来のものとされていますが、日本では、19世紀末の明治時代にはじまったようです。
両手を挙げて発声する「万歳三唱」は何処となく気功風で、健康的な爽快気分につながっている感じです。発声しないまでも背筋を伸ばす行動が、脳の働きを活性化しているようで、めまいの再発予防策のひとつとしておすすめです。

細かいことを言いますときりがありませんが、電車に座る位置にも注意して下さい。
一般には、進行方向に平行な横長の椅子は、背筋への一方進行風な負荷がかかります。
新幹線などの長距離列車に用いられているような進行方向に対して垂直方向の椅子が背筋の伸びによいでしょう。時々、電車を降りた時にフラフラを感じる患者さんがいますが、このような体の位置の左右差に影響する椅子と体の位置が原因かもしれません。
同じような意味で、足の長さに左右差のある方は、靴底の調整をすることが効くこともあります。

7. まくらに対する注意

人間にとって、睡眠はきわめて重要な問題で、一日の約三分の一から四分の一をすごすものです。まくらの高さは、知らない間にくびに負担をかけているはずです。 大まかには、くびを後ろに反らせないような高いまくらがおすすめで、昔の言葉でいう「まくらを高くして寝る」のがよいかもしれません。

それでも、そんなに単純なものではなく、まくらの高さは個人個人の背伸とくびの角度を考える安眠まくらの専門家もいます。睡眠中に寝返りを打つこともあるでしょうし、一晩中同じ姿勢で眠っているとは考えられませんので、まくらの高低の判断は難しいものです。まくらの高低だけではなく、材質も関係するでしょう。

実際に、従来のものを蕎麦まくらに変えてめまいが起きなくなった患者さんもいます。日頃、蕎麦まくらを使う青年が交通事故による足の骨折で入院しました。六人部屋です。その時、他の入院患者の中に蕎麦アレルギーの患者さんがいて苦情が出ました。青年は医師の指示もあって、普通のまくらに変えました。青年は入院期間中、めまいに悩まされました。勿論、退院後めまいは治りました。

8. ゴルフ

「ゴルフをしても大丈夫か?」という質問があります。 バブル時代と違って多少ゴルフ人口は減っているかも知れませんが、男女問わない新しい人気プレーヤーの出現で、今なお根強い人気のスポーツです。ゴルフは、身近な健康スポーツである反面、「めまいのある方にとってかなり注意が必要なスポーツです。」といいますのは、ゴルフはクビや全身の一方通行を主体としたスポーツです。ヘッドアップしない状態でのスウィングは当然くびへの負荷を生じます。

また、飛ばそうとするがめったスウィングは腰にも悪いことです。

それでも、友人たちと楽しむゴルフは開放感とともに日頃できない長距離歩行はきわめて健康的です。この楽しみを保つためには、プレー前後の準備体操は勿論、プレー後のストレッチ体操、入浴時のくびのマッサージを充分にやるよう心がけて下さい。 最近では、石川遼プロの人気沸騰によってゴルフをしないゴルフファンも増えています。このようなファンが大型テレビでゴルフ番組を楽しみます。飛球を見ながらくびをふるのは同じようにめまいの原因になるかも知れません。

9. 耳に対する注意

めまいの原因が耳に関係するといわれながら、耳に対する生活上の注意点がわからないのは不思議なことです。 それでも、長時間のイヤホン使用や騒音内での作業には注意して下さい。

その他、あえていえば、スキューバダイビング、長時間の飛行機での移動、長いトンネル内での自動車の運転、高い山への旅行などの気圧外傷とも表現されるが気圧の変化が耳に悪影響を及ぼしていると思います。

耳といえば、騒音がありますが、パチンコ以外での騒音といえば、カラオケや、職業的には、放送関係者、オーケストラの指揮者、歌手などが、かなりの騒音による耳の障害を受けているようです。ヘッドホンステレオのつけっぱなしの日常生活も注意がいると思います。 最近、とくに注意がいるのは、携帯電話です。最近取沙汰されている電磁波問題も無視できませんが、聞きとりにくい音で、それだけでも耳によいはずがありません。

10. 風邪引き

風邪は万病のもとという意味だけではありません。のどから耳を経由し、さらに耳からつながるバランスに関係する前庭神経ゆえに悪影響します。その豊型的例が前庭神経炎です。

11. 気候

病気のなかには季節と関係の強い病気があります。その代表的なものは脳卒中です。脳卒中は圧倒的に冬場に多い病気で、気温の低下が血圧と関係するからでしょう。
また、精神医学的あるいは心因的な障害は、「五月病」とか「木の芽どき」とか表現され、その伝承も正しいように思います。ところがめまいと季節との関係ははっきりしません。
「天気の悪い時」「低気圧」「季節の変り目」などにめまいが起こると言います。そのことを説明するには、人間を取巻く自然環境や森羅万象をより詳細に「みつめ直す」ことが近い将来の課題でしょう。

12. その他

この章では、あれこれと人間の行動や、身の回りの事象がめまいとの関連性についてのほんの一部分に触れただけです。その他、民間療法、東洋医学的なヨガ、マッサージ治療、鍼灸治療、整体治療をとり入れた健康生活の維持を心がけて下さい。

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